「一律10万円の再給付」についてのコメント
新型コロナウイルス、福島沖地震など度重なる災禍のなか懸命に生き抜いておられる皆様方に尊敬の意を表します
長引くコロナ禍の中で、雇用状況も賃金も、悪化が進んでいます。多くのこれまでなんとか持ち堪えてきた人たちがとうとう、あるいは最悪の状況をなんとか脱した人たちがまたもや、深刻な生存の困難におちいり、その数がますます増加していくことが危惧されます。
いま必要な経済対策として、「10万円の一律定額給付金」こそモラルです。薔薇マークキャンペーンの事務局コメントを公表します。
2021年2月23日
薔薇マークキャンペーン事務局
いま必要な経済対策「一律10万円の再給付」こそモラル
1.10万円の一律定額給付金を再給付せよとの声が高まっています。
昨年、10万円の特別定額給付金が決まったあとの5月時点で、私たち薔薇マークキャンペーンは、さらに一律20万円の給付を半年で二回行うことを提言しました(【薔薇マーク提言】全員に確実に届く、真の「コロナ」経済政策はこれだ)。
私たちのみならず、再給付を求める動きはたくさん起こり、世論の声に動かされ、政権与党にも広がっています。
(再給付を求める動き)
●国民民主党 1人10万円(低所得者は20万円)の現金給付など、第3次補正予算の組み替え動議提出(2021/1/26)※1
●れいわ新選組 コロナが収束するまでの毎月10万円の一律給付を提唱 ※2
●藤田孝典さん(NPO法人ほっとプラス理事)呼びかけによる、いわゆるツイッターデモで「#二回目の現金一律給付を求めます」のタグがトレンド入り。藤田さん発信の「change.org」での署名、「緊急事態宣言発令が拡大しているため2度目の特別定額給付金の一律支給を求めます」に8万名を超える署名が集まる(2021/2/20現在)
●小野盛司さん(日本経済復活の会)、井上智洋さん(駒沢大学准教授・薔薇 マー クキャ ンペーン呼びかけ人)らが、現金給付の再開を内閣や省庁に申し入れる
●「自立生活サポートセンター・もやい」理事長の大西連さんが、参議院予算委員会に参考人として呼ばれ、10万円の定額給付金を「多くの世帯が助かる」として訴える(2021/1/27)※3
●自民党国会議員73名が、10万円の定額給付金を再支給せよとの緊急の申し入れを、下村政調会長に対して行う(2021/2/9)※4
こうした動きを受けて、立憲民主党が、低所得者への支援として1人10万円を支給する「コロナ特別給付金法案」をまとめると報じられています(2021/2/19)※5
※1 2021/1/26毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20210126/k00/00m/010/226000c
※2 れいわ新選組コロナ緊急政策と財源https://reiwa-shinsengumi.com/covid-19-policy202008/
※3 困窮者支援団体が実態報告首相「声聞く」も給付否定https://this.kiji.is/727051296177668096?c=39550187727945729
※4 https://news.yahoo.co.jp/byline/fujitatakanori/20210210-00221841/ (2021/2/21 藤田孝典 BLOGS)
※5 2021/2/19朝日デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASP2M5SV8P2MUTFK01B.html
2.「一律」であることが重要
私たちは、10万円給付を求める動きが起こっていることを大いに歓迎します(もちろん主催団体や関係者の言動すべてを支持する意味ではありません)。また、経済学的にもその財源の確保には全く問題がありません。
給付をおこなうときに重要なことは、「低所得者」に限定するのではなく、みなさん全員に届くよう「一律」給付とすることです。
第一に、業種を限定したり、「低所得者」に限定したりすると、いま困っている人に速やかに届きません。また、公務員削減のせいで、事務作業が増えるとまた委託利権(※6)となってしまいます。「バラマキだ」という人もいますが、高所得者に配った分は、あとでこの給付金を十分上回る累進所得税などを設けて回収すればバラマキにはなりません。
第二に、不況下では、すべての人への生活支援こそが正しい経済対策だからです。それに対して政府の側は、麻生財務大臣が「後世の借金増やすのか」「効果が薄い」(2021/1/21)、菅首相も「最終的に生活保護がある」(2021/1/27)と、10万円給付を否定しました。「モラルハザードをまねく」(※7)と非難する声もあります。これらの政府の主張は次の2つの意味で根本的に誤りです。
※6 給付金事業 電通7社に154億円 パソナへの外注費は明かさず(2020/6/6東京新聞) https://www.tokyo-np.co.jp/article/33741
※7 企業支援でモラルハザード懸念 高齢者窓口負担2割「広範囲」に―予算建議(2020年11月25日時事通信)https://www.jiji.com/jc/article?k=2020112500671&g=eco
(政府の誤り1)庶民生活から乖離したところに勝手に経済復興を位置付ける誤り
今の政府は、地域に根ざした暮らしの生業とは切り離されたところに経済繁栄を求める発想をしています。これは不況対策の考え方として間違っていると言わざるを得ません。
庶民が日々生き抜くために支出すること(生活支援)が、とりもなおさず地域経済を支えること(需要拡大)なのです。したがって、現金給付は「庶民の生活支援こそ最強の経済政策」です。詳しくは【薔薇マーク提言】全員に確実に届く、真の「コロナ」経済政策はこれだの「不況対策の考え方」をご参照ください。
(政府の誤り2)一律にお金を配るとモラルが崩壊するという考えの誤り
政府・支配層の基本的発想の二つ目は、公に頼らずに自助努力することが道徳的とするものです(菅首相の言う「自助・共助・公助」)。彼らもさすがにコロナ禍は自助努力ではどうにもならない予測不能な災害だとは認めはしますが、そのための公的な支援は極力一時的なものと位置付けて、なるべく早く終わらせないとモラル(道徳)が崩壊すると考えています。
しかし、感染流行が収束したとしても、デフレ不況下においては、無理にがんばって生産を増やしても、生活支援で需要拡大をしない限り、売れ残りを増やしてデフレ競争を進め、悪循環になってしまいます(上述の「不況対策の考え方」参照)。政府や支配層のモラルの捉え方が間違っているのです。
3.庶民の生活支援こそ、モラル(道徳)
支配層が押し付けてくる誤ったモラル(道徳)のせいで、かえって不況の悪循環を生んでしまいます。消費税増税の強行で不況がもたらされ、政府の誤った政策で新型コロナ感染流行が悪化し、政府の意図的な無策で「新陳代謝」という名の廃業・合併・倒産が進められました。今の経済危機(※8)は深刻です。しかもそうした政策の中で、一部に「公に頼って」大儲けする大資本が出ています。そしてこうしたことの結果として、亡くなられたかたや、生活苦に陥った人がたくさん出ているのです。
これのどこが道徳的だというのでしょうか。私たちは今こそ、庶民の側のモラルを対置したいところです。手厚い支援措置を指して「モラルハザードをまねく」(※7)と非難する声に対抗して、すべての人に生活支援を行うことこそが不況対策でありモラルだと訴えるときだと考えます。
※8 今の経済危機の指標
・ 2020年に休廃業・解散した企業は4万9,698件。2000年の調査開始以降で最多を記録(2021/1/18東京商工リサーチ) http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210118_01.html
・ 「新型コロナ」関連の経営破たんは、累計1,009件に達する(2021/2/12東京商工リサーチ)https://www.zaikei.co.jp/article/20210213/607878.html
・ 12月の就業者数、前年同月に比べ71万人減少。前年同月比では、9ヶ月連続の減少。季節調整済みでは、前月比19万人の減少(2021/1/29総務省統計局 労働力調査) https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
・ 12月の実質賃金指数は前年同月比1.9%減(2021/2/9毎月勤労統計) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r02/02cp/02cp.html
・ 20年の自殺者2万919人 11年ぶり増加、コロナ影響か(2021/1/22日本経済新聞)https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG05BX30V00C21A1000000/
4.一律10万円を配れと要求しよう
以上の通り、一律10万円給付は、すべての人への生活支援のため、そして不況対策のために、いま必要な経済対策です。国会議員に、わたしたちの要求を届けましょう。わたしたちの声が大きければ政治は変わります。