【声明】消費税が10%に引き上げられて2年。このままではダメ。衆院選挙で状況を変えよう。

2021年10月1日
薔薇マークキャンペーン代表
松尾 匡(立命館大学経済学部教授)
薔薇マークキャンペーン呼びかけ人
西郷 南海子(薔薇マークキャンペーン事務局長)
朴 勝俊 (関西学院大学総合政策学部教授)
池田 香代子(翻訳家・作家)
色平 哲郎(佐久総合病院医師・社会運動家)
岩下 有司(中京大学名誉教授・経済学)
大坂 洋(富山大学経済学部経済学科准教授)
岡本 英男(東京経済大学学長)
小田中 直樹(東北大学大学院経済学研究科教授)
梶谷 懐(神戸大学大学院経済学研究科教授)
桂木 健次(富山大学名誉教授・経済学)
岸 政彦(立命館大学大学院先端総合学術研究科教授)
西郷 甲矢人(長浜バイオ大学教授・数学)
橋本 貴彦(立命館大学経済学部教授)
長谷川 羽衣子(グリーン・ニューディール政策研究会事務局長)
ブレイディ みかこ(保育士・ライター)
森永 卓郎(獨協大学経済学部教授)
山森 亮(同志社大学経済学部教授)
その他この声明への賛同者
中島 岳志(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授・政治学)

 2年前の2019年10月1日、安倍政権によって消費税が10%に引き上げられました。景気が悪化する中、世論の反対を押し切っての強行でした。その後、経済はさらに落ち込み、コロナ禍まで重なって、生活や生業(なりわい)は大打撃を受けています。このままではダメです。力をあわせて状況を変えなければいけません。

私たち薔薇マークキャンペーンは、様々な機会で、積極的な財政出動をうったえてきました。現政権や支配層が流布する「国債残高1000兆円は、将来世代が税金で返済しなければならない借金である」という財政危機論は誤りであることを指摘してきました。昨年5月には、全ての人に届く一律現金給付と、消費税停止(0%)を提言しています(※)。
また、それだけではなく、労働者の生活や中小零細企業を無条件で支え、コロナ禍終息まで安心して休業できるようにすること。エッセンシャルワーカーの方々のリスクと奮闘に十分に報いる体制と報酬を確立すること。さらに、公立病院や保健所、公的医療制度を拡充すること。現政権がおこなっている医療リストラ政策や、利用者を疲弊・分断させる補助金・貸付のやり方を改めること。こうしたことのために、十分に国のお金を使って、財政出動をおこなうことが、今すぐに必要です。
(※2020年5月薔薇マークキャンペーン提言「全員に確実に届く、真の「コロナ」経済政策はこれだ」https://rosemark.jp/2020/05/22/rose_state_140t/

私たちは、その立場から、9月8日、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組の4党が、市民連合の呼びかけに応えて共通政策に合意したことを心から歓迎します。この共通政策では、「格差と貧困を是正する」として、ワーキングプアをなくすこと、消費税減税と富裕層への負担強化で公平な税制を実現することなどが掲げられています。野党4党や、同志向の幅広い政治潮流が、これをさらに発展させて、人びとのための大胆な財政出動を、衆議院総選挙の争点として打ち出すことを期待します。
最後に、自民党の総裁選挙結果についてです。あまりの無策で倒壊した菅政権にかわり、自民党の新しい総裁に岸田文雄氏が選出され、新首相となる見通しです。しかし、岸田氏は、安倍・菅政権の最大の失政である消費税増税を正当化し、「消費税は減税しない」と表明しています。岸田氏は、これまでの緊縮派のイメージの払拭に努めていますが、「コロナ後は財政健全化をしっかり考える」と言っており、ほどなく増税・緊縮路線に戻ることは間違いありません。岸田氏もまた、安倍・菅政権の財界優先路線の継承者にほかならず、今後も自公政権が続けば、庶民にとっての景気悪化と社会の荒廃は避けられないでしょう。いわゆる「アベノミクス」は、大企業や富裕層に大きな富をもたらす一方、2度にわたる消費税増税で人々の暮らしを圧迫し、格差と貧困を広げました。来たる衆議院議員選挙では、安倍・菅政権の失政を繰り返さない人びとの選択として「政権交代」が待たれます。
いま世界では積極財政により雇用の本格改善をめざす「高圧経済政策」が大きな流れになっています。日本に住む私たちも、こうした潮流と共に行動し、人びとのための経済を、みんなの力で取り戻しましょう。

<この声明の連名賛同者のメッセージ>

  • 枝野さんが、所得税減税や消費税減税の財源を問われて「国債に決まっている」と答え、数十兆円規模のGDPギャップの存在を根拠にあげました。 私たちが提唱してきた勝てる政策で、野党がまとまって共闘する機運がようやく現実的になってきたと感じます。(松尾 匡)
  • 政権交代を実現し、徹底したコロナ対策と現金給付、そして脱原発グリーン・ニューディールで、誰一人取り残されることのない、持続可能で豊かな日本を実現しましょう。(朴 勝俊)
  • アベノミクスで唯一成功した円安で輸出産業は儲けたが、人々は貧しくなり、低賃金の職を奪い合うことになった。消費税も社会保障費も上げた結果、富は持たぬ者から持てる者へと移動した。こんなクレイジーな経済政策はもうたくさんです。(池田 香代子)
  • 「立憲民主党政権ができたなら、実現したい5つの政策」が信州の当地にも回ってきました、実現を期待しております!
    1.ベーシック・サービス(医療、介護、保育、教育など)の充実
    2.最低賃金の底上げ
    3.住まいの安心:①住宅手当(家賃補助)創設、②住宅の断熱化(省エネ化)
    4.学校給食の無償化
    5.高等教育(大学や専門学校)の経済的負担の軽減  (色平 哲郎)
  • コロナ禍がある程度収まっても、増税と緊縮財政による以前のような100兆円程度の財政規模では、日本経済は縮小していきます。
    これからは150兆円程度の財政支出が必要と思われます。0.1%百年国債の日銀引き受けで賄えば、日銀引き受け国債が1,000兆円になっても国が日銀に支払う利払いは年間1兆円で済みます。(岩下 有司)
  • 政治家のためではなく、みんなのためのコロナ対策・経済政策を!
    一律現金給付、消費税停止いますぐ!(大坂 洋)
  • コロナ禍に苦しむ人びとのための経済政策を展開できる政治が、いまこそ必要です。そのためには賃金の引き上げ、飲食店を中心とする小規模経営に対する補助など、あらゆる手段をとることを求めます。(小田中 直樹)
  • 各国の経験から見ても、「緊急避難」的な財政出動では安定した雇用を生み出せないことが明らかです。より長期的な積極財政のビジョンを野党は打ち出すべきだと考えます。(梶谷 懐)
  • ひとびとの怒りが、コロナ禍で緊縮を貫こうとした菅政権を打倒しました。それでもなお自民党は、消費税を下げることすら掲げません。圧倒的な「高圧経済政策」で、誰ひとり見捨てられない社会を共に作りましょう。(西郷 甲矢人)
  • 今度の総選挙は重要です。日本政府が人々のための積極的な財政出動をおこなうことで,多くの人々の困りごとを解決できます。全員が助かる政策を即座に!(橋本 貴彦)
  • コロナ危機で世界中が反緊縮へと舵を切る中、日本でもようやくその兆しが見え始めました。総選挙では、コロナ危機を乗り越えるための財政出動と、気候危機を乗り越えるための反緊縮グリーン・ニューディールが争点となることを期待します。(長谷川 羽衣子)
  • エッセンシャルワーカーが報われる社会を、
    互いをケアしあう日々の暮らしのための経済を、
    私たちの声が届く政治を。(山森 亮)
  • コロナ危機の中、低所得層にしわ寄せが集中し、生活困窮が深刻化しています。このような時に思い切った財政出動を行い、消費税の減税を行うのは、当然の政策です。どの政党が国民のこと考えているのか、しっかりと見極めましょう。(中島 岳志)