ぼくが研究しているフランスでは、移民排斥をはじめとする排外主義を唱える国民連合(旧・国民戦線)の伸長や、「黄色いベスト」運動の継続など、さまざまな社会的あるいは政治的な動揺が続いています。ただし、これら動揺は、庶民や民衆が、みずからの経済状態に対する不満や将来に対する不安を表現していることの結果であるという点で、共通しています。
それでは、日本ではどうでしょうか。フランスの動揺を、フランスの庶民や民衆の不満や不安を、他人事として済ませられる状態でしょうか。いや、ちがう。まったくもって他人事ではないのです。