2022年2月26日
薔薇マークキャンペーン代表 松尾 匡
このたびのプーチン政権によるウクライナ侵略の犠牲となった、すべてのウクライナ人、ロシア人の命に哀悼の意を捧げます。また、ウクライナで戦災に見舞われたかた、避難生活を余儀なくされているかた、武力におびえて暮らしているかたに、心からお見舞いもうしあげます。そして、強権体制のもとで弾圧にさらされながら反戦の意思表示に立ち上がっている数多くの勇気あるロシアの人々に熱く連帯の意を表します。
戦争は、ごく一部の政治的経済的支配者の利益のために、本来全く争う必要のない民衆同士に殺し合いを強いるものです。私は戦争に反対する世界中のすべての民衆と連帯する立場で、プーチン政権による侵略と、それにつながった米露の勢力圏争いを弾劾し、即時の停戦と撤兵を訴えます。
さらに、私たちにできることとして、取り急ぎ以下の取り組みを提起します。
・侵略戦争反対の声を上げるロシア、ウクライナの人たちに支持表明をしましょう。
・ウクライナの民衆への人道支援、避難民への人道支援に可能なかぎり協力しましょう。これを公的にも要求し、必要ならば体制を整えて日本に受け入れるよう求めましょう。
・在日ウクライナ人のビザを延長し、今後の情勢によっては永住資格の便宜をはかるよう求めましょう。
・在日ロシア人へのヘイトが起こったならば、それを許さない姿勢をとりましょう。政府にもそれを求め、プーチン政権批判を表明した勇気あるロシア人の身の安全を確実に守り、必要ならば政治難民として庇護するよう求めましょう。
・プーチン政権とその取り巻き財閥を利する取引をしている企業への不買運動などを進めましょう。
・戦争の影響で燃料や小麦の値上がりに拍車がかかることが予想されます。消費税の減税やガソリン税の停止で対処するべきです。
・この戦争を利用して国際石油資本が不当に石油価格を吊り上げることを許さないための国際的な取り組みに努め、権威主義体制の経済基盤を崩すためにも自然エネルギー転換を求めましょう。
ところで、この事態に対して日本政府は他人事のようにロシア批判をしています。しかし、現政権が引き継ぐ自民党・公明党政権は、安倍晋三首相時代、一貫してプーチン政権との友好に努めてきました。2016年には二年前のクリミア併合の記憶も冷めやらぬ中、プーチン大統領を地元山口県に招待し、現地の人々に歓迎を強いています。その意味で、自公政権は、プーチン政権のこれまでの姿勢を黙認し、これに加担してきたと言えます。
私見ではこれは、日本企業の怒涛の進出が進む東南アジアの利権をめぐる中国との潜在的な争いに際して、北方の安全確保をもくろんだものと思われます。国内を見捨てたこうした企業の海外進出こそ、雇用空洞化と中小企業淘汰、総需要不足と緊縮政策の元凶として、本会がつとに指摘してきたものです。
そして現在岸田政権のもとで、この東南アジアの経済支配の実力保障のための体制構築が、改憲を筆頭として進められようとしています。まさしく、この戦争につながったウクライナをめぐる米露の勢力圏争いと同様の図式が、日本政府によって東南アジアをめぐって作られつつあると言えます。今日本では、ウクライナを自国に重ね合わせて憲法九条を排撃する論調が広がっていますが、そうではなくて、今の日本と重ね合わせて見るべきなのは、今のロシアの方なのです。
それゆえこの動きにストップをかけ、日本を今のプーチン・ロシアのような国にしないために努めることが、真にウクライナ民衆の立場に立つことだと言えます。そして、弾圧を恐れず立ち上がったロシアの民衆の勇姿から、まだそこまで強権化が至っていない猶予に恵まれた私たちが何をすべきかということを汲み取ってこそ、彼らとの真の連帯を示すことができるのだと思います。
みなさん、一緒にがんばりましょう。